橋本ドンのマンション管理での嘘のようなホントの話?!(第五十一歩)

■マンションにかかっている保険の内容はご存じですか?!

マンション管理士の橋本です。

5月に終わり、6月へ、季節は春から夏までの間、そう梅雨に時期に差し掛かります。
今年も始まったと思ったら、すでに年の半分に差し掛かっています。
早いですね??ほんと、あっという間です。

6月といえば、梅雨ですね。雨に紫陽花が濡れきれいな時期でもありますが、それ以上に多くの雨を降らす時期でもあります。
そして多くの雨を降るこの時期は、マンションの管理にとっては、色々な問題を起こすこともあります。

それは漏水事故です。
建物の劣化や管理運営上の問題から雨漏れなどがあります。
そう、実は、この6月の梅雨の長雨(大雨)から始まり、夏場の天候不順(落雷、ゲリラ豪雨などの急な天候不順)、そして夏から秋にかけては台風の通過シーズンと、天災が多い時期に差し掛かります。

そして、こういった天災で雨漏れや強風にともなう破損等のリスクで大事なのが、保険です。
そう、マンションにおいて、建物全体、共用部に対して保険を掛けるのは一般的であり、保険を掛けないといったノーリスクケアをされているようなマンション、管理組合はほとんどないのではないでしょうか?

よく総会の席でも、この保険の話出てくるのではないでしょうか?
ちなみに皆さん、建物にかかっている保険、どのような内容で、どのような時に使うのか?!ご存じですか??

一般的にマンション共用部の保険は、火災保険、地震保険、施設賠償責任保険あたりが一般的です。(なお、保険は契約の内容により、適用されるものや、内容などが異なりますのでお話しする内容は一般的な話です)

具体的には火災保険は、マンションの共用に対して、火災やその他被害に、損害に対して、それをカバー補償する内容のものです。

皆さん失火法ってご存じですか?これは重過失がない場合、出火元に対して損害賠償義務がないため請求できない内容です。(昔?今もまだありますが、日本の建物は密接している関係で火災による被害が甚大なためです。)
そのため、そういった火災に対してリスクヘッジをするために保険があります。先日も実際に区分マンションにおいて、専有部1室を管理しているマンションにおいて、火災事故があり、部屋だけでなく、ベランダなどの共用部、外壁にも煙や炎により黒煙の跡がついていました。
こういった被害に対してカバーする内容であり、またその他、共用部において、扉や壁などが誰かしらに破損させられた場合などに対しても補償になります。

そして、地震保険、これは字の通り、地震による被害に関しての保険です。共用部保険の費用の中でも、高く、多くを占めている内容なのですが、ただ皆さん気をつけて頂きたいのが、この地震保険は地震による被害に対して、全額、また被害に対して何でも適用されると思われるかもしれませんが、実際は違います。
4つランクがありますが全壊でも50%しか適用されません。そのほか、内容によってでないものもありますし、実際鑑定人がきて、細かなチェックの上、判定内容によってランクも適用される金額も変わります。

また、施設賠償責任保険は、建物施設などの不具合により、被害を与えてしまった事に対する賠償です。例えば、共用部配管が劣化破損してそこから住まわれている方に被害を与えてしまった場合、その被害に対する、カバーする賠償の保険です。

それ以外でも、特約の内容、個別選択して保険をつけるのでが、その内容として
個人賠償責任保険や水濡れ、水災、臨時費用保険金補償など色々とあります。
特にマンションで多いのが個人賠償責任保険です。これはマンションの専有部で起因する事故被害に対しても、補償カバーする内容です。(これは、被害者救済の意味が強い保険内容です。そう、専有部での火災保険未加入<特約未加入>に対しての救済です)

そして、ご存じだと思いますが、この共用部の保険が年々、爆上がりしています。
その理由はインフレ等もあるのかもしれませんが、それ以上に被害事故が増加しているからです。
更に、マンション共用部の保険で、その割合が高いもの分かりますか??それは、地震保険と特約の個人賠償責任保険が高いです。
地震保険は東日本大震災もそうですし、先日の北陸での地震もそうですが、一度大きな地震が起こりますと、保険会社もそれなりにカバーしていますし、また今後、関東でも大きな地震があるかも?!というリスクなどからの算出ではないかと考えられますし、個人賠償責任保険については、普段自分自身の仕事で実感していますが、30年を越える築古マンションにおいて、上下階の漏水事故が半端なく多いです、その理由はやはり給排水の劣化に伴う漏水事故が主になります、そのほかユニットバスの劣化も。
そういった事故は上下階の部屋だけでなく、最悪の場合、複数の部屋に対する被害事故をもたらすリスクもあり、こういった保険事故による申請が多く、それに対して保険会社も保険料では賄いきれない為、保険料の値上げという事になっていますし、実際、その件数保険料が多いマンションにおいては、保険契約すらできないといった話もあります。
その他、免責金額があったり、その金額が大きかったり、全体の保険金(MAX金額)を下げたり、また長期契約(単年)をしなかったりといった事があります。

そのため、最近マンションによっては、個人賠償責任保険の加入をやめる動き(そう個人の火災保険での特約でかけて頂くとかなりお安いので、自分の事は自分で責任を取って、カバーをして!!といった流れ)もあります。
これはご尤も話なのですが、全員が全員、保険の事を詳しいかといえば、そうでもなく、多くの人が火災保険は入っているから、個人賠償責任保険も特約で入っているはずと勘違いされる方も少なくなく、その結果実際に事故があった場合、被害に対してカバーできなかったり、被害者だけがダメージを受けたりするリスクが残ります。
なので、そういった事にならないように時間をかけて、周知告知をして、期間をおいて移行されるマンション管理組合もあります。
そう、建物の保険は、リスクヘッジをするうえで、必要不可欠であり、これがかけられない締結しないといった事はありえない話ではありますが、こういった諸事情を考えると、今後も年々値上る可能性が高いのは予想できますし、
一方、保険を押さえるため、事故を未然に防ぐため、更に、予防メンテナンスとして、建物修繕をすると、それにも費用は掛かるといった流れで、その他、管理費といった日々のメンテナンスにもインフレの流れもあり、
マンション管理運営において、どれだけのお金を集め、何にお金を使って、どの内容のもののコストを見直すか?!というのを真剣に考えて運営管理する必要があると思われます。
そう、管理会社にお任せ?!といった状況では、今後、コストアップ、管理費、修繕積立金の値上がりは避けられず、資金力があれば、それでもいいとは思いますが、そういったマンションはまれだと思います、そういった見直しを自分たちで考えてする時代が来ていると思います。
ただ、そうはいってもマンション管理運営が分からない状況、管理会社任せですと、何をしたらいいかもわからないですし、自分たちだけで考えても、本当に必要なもの(法定点検やリスクヘッジなど)、見直してもいいものとの違いも分からないと思います。
マンション管理会社も利益相反をしているわけではないのですが、管理会社もあくまでも営利会社ですので、いくらかの利益がないと存続が出来ないのも事実です。

そのあたりは、マンション管理会社だけでなく、第三者の専門家(マンション管理士や建築士、設備関係の専門家)など、連携しながら運営を進めることを一番ではないかと思います。
ただ、それ以上に一番大事なのは、各組合員が当事者意識をもって、自分の住んでいるマンションをどのようにしていきたいのか!!そのことが重要だと思います。自分の持ち物なので、その管理のすべてを他人に任せて、自分はしらないというのは違うのでは?!と思います。

という事で、今回は保険の話から、今後のマンションの管理運営の話までさせて頂きました。ほんとこれからのマンションの管理運営は本当に大変ですが、皆さんも一緒に頑張りましょう!!
それでは、また!!

(マンション管理士 橋本 和聡)

以上