橋本ドンのマンション管理での嘘のようなホントの話?!(第五十二歩)
■マンションの給排水管更新工事は、なかなか大変です!
マンション管理士の橋本です。
7月に入り、真夏に突入ですね?!私の仕事でもあります、賃貸管理の現場ではエアコン故障や動植物系の対応が多く、この時期は忙しいです。
そんな季節柄の連絡以外でも色々な業務をしており、その中で、マンションにおいての漏水対応は、季節に関係なく起こっており、通年で対応しています。
またかと思われますが、今回も漏水とそれにともなう予防メンテナス、修繕についてお話したいと思います。
実際、漏水事故が起こっている物件は、築年数でいいますと、30年オーバーぐらいのマンションです。
漏水事故の原因は様々あり、建物劣化に伴う雨漏れ等もありますが、こちらは比較的に計画した形での修繕が出来ているので少ないのですが、多いのが給排水管からの劣化での漏水です。
そのため、マンションの管理組合でも3回目の大規模修繕工事あたり、そう、30年~40年ぐらいのタイミングで給排水管更新工事を計画しているところが多いのではないでしょうか?
ただ、この給排水更新工事ですが、どのタイミングで行えばいいのでしょうか?実は、この給排水関係更新工事のタイミングはなかなか難しいです。
なぜなら。。。
目視しづらい、可視化していないから、そう、カメラ等で調査しないと分からないからです。そのため、一般的には予防メンテナンスとして、築年数でおこなうか?それとも現状の結果を踏まえておこなうか?!そう、要は漏水事故が多発した結果、必要性に迫られて実施するというパターンです。
漏水事故もそうですし、それに伴う保険使用に伴う保険金の急騰や加入制限などからせざるを得ないというケースです。
という事で、予防メンテナンスとして、いざ工事をはじめようかとした際に、この給排水工事をするにあたって、少々ハードルがあります。
その一つが、断水を伴う工事である事から住民との調整がなかなか難しい事。
というのが、工事としては上階から?もしくは号室一斉(縦の列等)工程を組んで、日時を決めて順次行うのですが、100戸あればそれぞれの家庭や人に予定もありますので、そんな段取りよくスムーズに作業がなかなかできない、ましてファミリー物件なら誰かしらいて、カバーできるにしても。
シングルの投資用マンションに物件では、なかなか調整が取れず、工事が難航するケースがあります。
特に断水などライフライン系の工事を行う際は、住民の方と大きなトラブルになりやすいので注意が必要です。
また、断水といっても、作業のあるのを忘れていた、協力しない、といった人は少なからず必ずいます。
そして、給排水更新工事で、もう一つ大事な事、認識はあります。
そう、管理組合が行う給排水更新工事はあくまでも”共用部”にて、”専有部”の工事は基本的には行わないという事です。
実は漏水事故においては、専有部と共用部での割合でいいますと、個人的に対応している肌感覚では、専有部の給排水管(埋設配管にて竪管までの横引き管からの漏水や水回り)での漏水事故が圧倒的に多いです。
そのため、給排水管更新工事については、本当は、共用部、専有部、両方同タイミングで行わないとあまり意味がないんです。
しかしながら、これまでは、共用部は管理組合がするから、専有部は各組合員各自でしっかりやってね?!知らないから?!というスタンスでした。
そのため、なかなか漏水が減らないという現象が起こっていました。
ただ昨今、そういった流れから、専有部と共用部がつながっている部分、一体となっている部分(給排水管部分)については、同時工事する(専有部の工事を、共用部の工事と同タイミングで行う)組合も増えてきました。そう、国も国交省からの標準管理規約にもその内容を盛り込むなどして、規約の変更等により、行えるようになりました。
それはそうですよね?
分かれてすること自体がおかしな事ですし、漏水をなくす、少なくするといった目的も改善できなのであれば意味がないですよね??
これで、よかったよかったと言いたいところですが、まだ、この給排水管更新工事でのこの同時施工でも問題があります。
まず費用の問題、基本、工事は管理組合で進めるのですが、費用は各組合員が負担することになります。 そのお金、負担して頂けるのでしたらいいのですが、人によっては、その一時金が払えない方も居たりしますし(だから毎月修繕積立金で積み立てているのに急に負担してといわれても困る?!という人もいます)、仮に組合が負担するとなると、費用負担も大きくなりますし、予算的にどうかという事や、すでに専有部のリフォームをしているところの扱いをどうするのか?!
(基本返金等の対応であったりするのか??ケースバイケースですが?!)とか、お金の事、管理運営面、工事の段取り、施工、などなどを考えただけでもかなり大変な内容です。
じゃこれを誰がまとめるのか?!
基本はその時に理事長を中心とした理事会役員の皆さん、管理会社、協力会社さんと面々になります。 おそらくこの工事をするにあたっては、アンケートや住民説明会をして、合意形成をした後でないとスムーズに進めない内容かと思います。
そんな中、それを進めるにあたってたまたま役員、理事長、修繕委員でしたらいかがですか?!かなり大変だと思います。
そう、今回、給排水管更新工事に絞って話をさせて頂きましたが、マンションの管理運営はほんと大変ですし、その時その時の話だけでなく、何年、何十年先を見越したうえで、考え、運用し、建物の価値を下げないようにメンテナンスする必要があります。
実際それを一部の人や管理会社担当者にお任せする事自体が難しいのではと、個人的には考えており、そういった運用面で、フォロー、バックアップする専門家(チーム)が必要ではないかと考えます。
私は、普段賃貸物件における、PM(プロパティマネジメント)会社に勤めていますが、PM会社は、その物件の管理だけでなく、その物件の運営、運用(コスト管理、メンテナンス等を含めた、物件の資産価値を上げる事)をしております。基本賃貸物件は、どれだけの収益が得られるかI(それに伴って当然売却値段も上がります)が価値の判断になりますが、分譲マンションにおいては、住みやすい環境(安心、安全、快適)で住むことが出来き、仮に、生活の見直し、終活、相続時に物件を手放す際に、資産価値が下がらない(新築時の水準は難しくとも、ある段階からは売却時価値が落ちない、逆に高められるように)ように運営運用を継続できるようにすることだと個人的には思っております。
そのためには、管理運営の専門家の組合運営の参画が不可欠であり、そういった意味で専門的なマンション管理士、建築士、弁護士、税理士といったフォローが必要になってくるのではと思っております。
ということで、今回はマンション給排水管更新工事について、対応面や運営面での現場の実務面でお話をさせて頂きましたが、少しでも、参考にして頂けますと幸いです。
それでは、また!!
(マンション管理士 橋本 和聡)