橋本ドンのマンション管理での嘘のようなホントの話?!(第五十四歩)

■合意形成なき値上げは危険信号?可視化の重要性

マンション管理士の橋本です。
今年の夏は?夏も?長い長い猛暑が続いていますよね?!
9月ですが、まだ暑い日が続いています。外に出ていますとすぐに大汗ですね?!

そんな中、私の所有するマンションにて資料が届きました。
何かと言いますと(簡単に言いますと)、修繕積立金の値上げに伴うエビデンス、資料でした。その内容として今後、計画修繕をした場合、お金が足りないので、早めに、且つ、それなりの金額を上げたいとの趣旨でした。

現状、仕事等の関係で時間がないことから、役員以外の際は、何かしら関わる事がありませんが、まぁ、築年数もそれなりに経ってきましたし、これだけインフレにてモノの値段が上がり、工事費も上がっていることは仕事上、当然理解をしておりますし、今後の将来、まとまったお金を都度請求されるぐらいでしたらやむなしとは思いますが、問題はその金額とそのプロセス、進め方です。

そう、ファミリーマンションなのですが、部屋の大きさによってですが、1万円前後の値上げとの内容でした。
心の中で、数千円はある程度仕方ないかなぁ?!とは思っていましたが、固定費が毎月1万円上がる、年間で12万上がるのは、事情は分からなくはないのですが、一般家庭において、払う立場としてはさすがに堪える金額です。

そして、一番個人的にどうかな?!と思うのは、資料のみを配布して具体的な説明会などがない状態でそのまま通常総会に上がってくるとのお話が。(一応、私が把握している範囲では、そう、管理人さんには聞きましたがこれまで開催等はされていないとのことでした。)

確かに、その場でいる理事会にとっては苦渋の選択をされているのは理解できますし、資料などを拝見した結果、専門家への相談や見積もりの精査など努力されているのは、仕事上よくよく理解できますが、

”まずいのでは?!”と思ったのは、
私など、よく知っている人間ならまだしも、詳しい内容を知らない一所有者が見て。。。

・この内容を理解できるのか?(全体的な内容)
・金額の妥当性はどうなのか?(値上げ金額、計画修繕での工事費用)
・この計画はどこまで大丈夫なのか?(通常は5年ですが、実際どのあたりぐらいまでこのままでいけるのか?また、見直しが必要になるかもしれない事も理解しているのか?おそらくこれを見ると今後値上げはないと勘違いされるかもしれません)
などなど。

おそらくある程度理解している私も分からない点はありますし、ましては知らない人ですと、値上下幅が大きいと聞いただけでしたら心配事は多々あるかと思います。
個人的には、計画はわかるけど、運営などの見直しも考えているのか?
また、おそらく、思っている以上に早いタイミングで、さらなる値上げの話になりそうな感じがしており、そのあたりの事前の説明など大丈夫なのか?!

そう、当然ですが、管理組合の運営は、その年だけでなく、継続して行われることであり、色々な多方面で、今後の事を考える必要性があります。
そういった時に、マンションの管理運営で一番大事なのが、可視化と合意形成、これがものすごく大事になります。

100%組合員が同じ方向を向くことは難しい事ですが、少なくとも、住民の大部分が同じ方向に向いて考え、判断する、合意形成をしっかりしないと、先先に空中分解しますし、トラブルが起こり、将来的に運営に大きな障害、支障がでます。
そして、その合意形成をするうえで、一番大事なのか、情報可視化であり、可視化されて情報を説明し、理解した上で、判断できるようにすることが、同時に大切です。これをすることで、いくら判断等にて意見が割れても、総会で決まったことは大筋でみんなが納得して、方向に進めますので大きな障害までは至りません。
ただ、これをせずに、役員が自分たちの気持ちだけで、進めたい事だけを推し進めますと、大きな反発不信感が爆発します。
そのため今回のような場合は、うまくするのでしたら、先に総会に向けた説明会などを実施し、組合員の意見を聞きつつ、最終的に議案を上げる形でしたら、各位、もやもやもなく進められます。 やはり、事前の説明会の開催や、意見交換の場を設けることは面倒ですが非常に重要です。そう、議案を上げる前に、組合員の声を聞き、納得感を形成するプロセスが必要です。
しかし、輪番制で役員が交代する中では、こうした運営ノウハウが継承されにくいのが現実で、管理会社が補助的な立場に留っている場合、その時の理事会気持ちだけで案件が進行してしまうことも少なくありません。

そのため、こうした重要な案件では「第三者の専門家」、すなわち、マンション管理士等の専門家の存在が大きいです。中立的な、管理組合に寄り添う立場から、情報の整理、説明、妥当性、合意形成の支援を行うことで、組合員の不安を和らげ、円滑な議案通過につながります。
そう、今回の事も、可視化して、合意形成をしっかりして、スムーズに総会にて議案通過をさせるためには、各組合員への配慮も大事になってきますので、専門家のアドバイスが聞ける環境でしたら、組合員の気持ちに沿った対応になるかと思われますので、違った形での流れ、対応になったのでは思っております。
そのあたりが今回の流れにあたり、少し残念でしょうか?

という事で、今回は仕事の現状から、総会だけの参加になってしまいそうですが、話を聞きつつ、自分自身の意見や判断をしたいと思います。
それでは、また!(マンション管理士 橋本 和聡)

以上

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執筆者・橋本和聡さんは、25年以上にわたり、賃貸管理、マンション管理の現場に携わってきたベテラン。現場での気づきや実践的なヒントを、ブログとSNSで発信しています。
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