橋本ドンのマンション管理での嘘のようなホントの話?!(第五十六歩)

■インフレにともなうマンション管理への影響

寒くなりましたね?!
吐く息も、薄いのですが白くなってきました。

マンション管理士の橋本です。
今年も残り2か月、ほんと月日の流れるのが早い。
そろそろ、忘年会の話も出てきており、飲みのお誘いが終わったら、いよいよ年末、そのころには寒い、寒い冬が来ますね?!

そんな中、先日自宅マンションにて、年に一度の通常総会がありました。
今回は、取り決める事、議案も多く、時間もいっぱい、いっぱいかかりました。
その中で、今回の総会で感じたこと、それは、””インフレとマンション管理”です。

そう、以前このメルマガで修繕積立金の値上げの話をしましたが、今回はその内容を含めた議案でしたが、実は今回、その話以外でもインフレに伴うコストアップに関する内容が数多くありました。

あげますと
・修繕積立金(これば1番コスト面で大きい内容)
・日常を含めた清掃に関わる費用(日常生活に関わる内容)
・防犯カメラ等のリース費用
等でした。

あと見えないところでは電気などの光熱費は家庭同様に年々上がってきますよね?
(また今後は保険料も上がる事が考えられ今回はその話は出ませんでしたが、また更新のタイミングではなしがあるかとおもいます)

大きな内容からお話しますと、
修繕積立金は、これまであまり値上げがなかったという事もあり、今回は大幅な値上げの話でしたが、その理由として、今後、数年先に行われる予定の大規模修繕工事や配管更新工事、機械式駐車場などのリニューアルなどの費用がこのインフレの現状では読めない事、また少なくとも大幅な値上げをしないと、計画されているそれらの工事をおこなう事態が難しいとの話もあり、値上げの話に。
(特に配管工事は実施時期の見直しも検討する事になりました。)
実際、これまで危機的な組合財政ではありませんが、色々なものの値上げもあり、また実際に行われている細かな工事でも年々費用の増額が実際見受けられる中で、この先、5年、10年後の先を考えた場合、単純に考えたとしても費用の大幅な金額増加は避けられないというのが前提にあります。
なお、この総会に至るまで理事会のメンバーの方々も色々と苦慮された上での議案だった事はお話をお聞きして理解できました、今回はかなり大変だったかと思いますし、苦渋の選択だったことも分かります。
そのため、この費用上昇に当たる対応として、実際は、色々な方法、考え方(段階的な値上げ等)があるのでは?との話もありましたが、値上げ幅は大きいものの、組合員の皆様も、このご時世、社会の変化を理解され、反対される方はあまりおられませんでした。

ただ、個人的な感想としては、皆さん生活に直結する固定費用なので、同じ賛成とはいえ、それぞれの思惑もあるかと思われ、分かっているけど、心の中で納得できない?!モヤモヤ感もあると思われます。
そういった気持ちを汲み取り、今後のより良いマンションの生活のための活動として、同じ方向性(合意形成)を向けるために、皆さんの事を考えると説明会など、もう少し丁寧な対応も良かったかな?という感じはしました(総会にて一発審議でしたので)が、とはいえ、今回は役員様の頑張りを見ていますと今回は私個人としては納得はしています。

そして、もう一つ大きな話が、この清掃関係の費用です。
今回、共用部管理会社から下請け会社の値上げを受け、コストのアップに伴う値上げの話があったようです。(ちなみに元受けは共用部管理会社です)こちらもしばらく値上げ等されていないからという話からですが、個人的には、そもそも下請けからの話の以前に元受けの管理会社がもっと企業努力して、他社での見積もり等(管理会社なので取引業者はかなりおられると考えられ)提案するべきでは?!と思いましたが、とはいえ、神奈川県も最低賃金も上がっていることなどを考慮しますと分からなくはないのですが、そうなりますと修繕積立金も含めての値上げになる為。。。

ということから結論から書きますと清掃頻度(作業時間も削減)を見直し、少なくすることで、コストを据え置き(実質値下げ)で再契約をすることになりました。
が、ここで難しいのが清掃頻度を下げることできれいさが維持できるかが問題です。
維持できるのであれば、これまで、余剰に工事をしていたという事で、コスト削減でいいのですが、汚くなるようでしたら(当然少なくなるのでその可能性は大いにあります)住民生活の快適さが低下する事になるため、かなり大事な問題です。
そのため、今回はコストの事もありますのでいったん初めて効果測定をした結果、将来見直しも含みおいての契約になりました。
ある意味、管理上はこういったコスト管理は大事なので、もし私がマンションのコンサルをするのであれば、このように清掃の頻度等を見直すと思いますので、今回はそういった組合の取り組みや判断、対応は適正な内容と理解できます。

最後にその他のリース系ですが、今回契約を切れるものに対して、再リースか買取かでの審議でしたが、結論は買取りの方が安いのでその切り替える話で可決しました。契約期間中のメンテナンスの事もありますが、保証期間等のオプションから対応として変わらない事もあり、コストダウンできるとの方向性での判断でした。
このように、今後は、インフレに伴い、こういったコストについても一つ一つ見直す必要性が出てくるかと思われます。

といった感じで、今回は、修繕積立金は値上げになりましたが、管理費自体は据え置きでの議案でしたが、おそらく次回の総会では管理費の値上げは間違いなくくるかな?というのがこの総会を通じて伺えます。
今回も、値上げをしないように、創意工夫で役員の方が機転を利かせて対応して頂けましたが、おそらく、これ以上コスト削減が難しいとの話でしたらいよいよ管理費もという流れです。
現状、今回の修繕積立金もそうですが、明らかにここ数年にて、社会構造と世の中の流れが大きく変わった事は間違いのない話です、そして、それを理解しないといけないですし、多くの人が実際にそれを分かってきています。

ただ、100人いたら100人考え方が違う、総会でも色々な意見がやはり出ます。年齢層も違うし、生活環境も違う、当然考え方も異なります。
それをどうまとめるか?住まわれている住民皆さんの財産であるマンションを、いかに価値を落とさず、また快適な生活環境を維持できるのか?そのために、どうしたらいいのか?組合員さんをどれだけ同じ方向に向けて、前向きに納得感を持って話を進めるのが大事です。

ほんと、このマンションというコミュティで、いかにスムーズにいい方向になるように話し合えるか?私自身も何かしらのお役に立てればと思います。

あと、今回の総会でも残念だったのが、共用部管理会社のフロントマンの方、私自身仕事として、管理の仕事をして、知っているからかもしれませんが、現状の業務補助だけでなく、さらに改善提案など、管理のプロの立場で、コンサル、アドバイスができるぐらいのスキルがあれば付加価値もあり、いいのですが、自分たちの事だけ、業務の事だけ、変なことを言って責任を取りたくない、といった雰囲気が態度や発言に出てしまっているのが、少々がっかりでした。

特にここ最近はマンション管理のビジネスモデルの崩れ(人不足、労働環境の見直し、工事の受注が出来ない等から売り上げは上げにくく、そして人を動かすことが多いのでコストアップも多く、労基などのコンプライアンスのリスクもあり。)から、管理する対象のマンション、業務内容等を絞った形(儲かる事しかしない)でのビジネスに、シフトされている動きがあります。

確かに慈善事業をしては会社が守れないのは理解できますが、今回の清掃費用の値上げの話を聞きますと、お互いがWINWINするためにはどうしたらいいのか?!というより、自分たちのビジネスの信念(マンションの管理をして何をするのか)もなく、自分たちだけの事(利益や維持)を考えるように見受けられてしまいます。
頑張っておられるのも分かりますし、いないと困るぐらいの大変の仕事をされているのも分かりますが、もう少し管理組合に向きあってほしいかな?と感じました。

同時に、今回の総会を見て感じたのは、管理組合の役員様は今回かなり頑張って頂いているのは、よく理解できましたが、正直、これ以上の対応は限界があるのでは?と思いますし、管理会社も管理会社で、これ以上の管理運営にあたり、コンサル的な対応は難しく、自分たちの企業活動を維持するにあたり、これ以上にマンション側に立って考えるように状況でではないことを考えますと、そのお互いの立場を調整する人、立場の人がやっぱり必要ではと感じる場面あります。

そう、よく私もここで書かせて頂きますが、ここ最近、はじめられているところがあると思いますが、お互いを調整し、また業務自体も調整できる、第三者管理など、コストは少々かかりますが、外部から専門家を入れる体制です、その方が、お互いがお互いでの業務にあたり、スムーズのように感じます。

今回も総会で色々と意見でもめるとまではいきませんが、組合員同士で意見の食い違いがあり、エキサイトする場面も。正直同じマンション内で揉め事はしたくないし見たくもないですよね。
なお、なぜ、ここ最近、第三者管理の話を主にさせて頂いるかといいますと、正直、別の形での管理運営体制ができるのであれば、個人的にはいいと思いますが、
ただ一つ言えるのは、そろそろ、これまでの従来のマンション管理の方法が難しくなってきた!そう、この管理組合でのマンション運営体制(役員不足、ボランティアとしての組合活動等の中での対応)、共用部管理会社の業務変化、今後の社会変化(インフレ、人不足、AIの進等)を考えますと、これまでのマンション管理体制(組合員による管理運営体制と共用部管理会社への管理業務の一括依頼)は変える必要性が、直近で起こっており、変わらないといけないのではないかと考えます。

その中の一つとして、今ある方法として、第三者であれば、そのあたりの調整ももう少しスムーズにできるのでは?!とも感じた次第です。ただこちらも、できる人、人不足は否めなく、任せられるような体制、需要など、移行するのに十分な状況がないこともあり、滞っているのかな?!とも感じます(私も含めてですが) そのあたりがこのマンション管理の運営に対して大きな課題や問題のように思われます。

という事で、今回は、自宅マンションの総会の事を例にして、インフレとマンション管理の事について書かせて頂きましたが、このような話は、他のマンションでも、リアルタイムに多かれ少なかれある話かと思われます。というのは、フロントマンの話し方ですと、ある程度の規模の管理会社でしたら、このような話を一斉に行っていることは容易に予想できます。その際に少しでもスムーズな話し合いができるように参考になるように今回書かせて頂きました。
また次回お会いしましょう!
それでは、また!

(マンション管理士 橋本 和聡)

【執筆者プロフィール】
橋本和聡(はしもと かずとし)
賃貸管理、マンション管理の“今”を、現場から直送!の意気込みで執筆しています。
25年以上にわたり、賃貸管理、マンション管理の現場に携わってきたベテラン。現場での気づきや実践的なヒントを、ブログとSNSで発信しています。
📘ブログ:https://note.com/brigebookdon/n/n56a2b8bd69f9note
🔗SNSまとめ:https://lit.link/brigebookdon
資格:マンション管理士、管理業務主任者、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、CPM(米国不動産経営管理士)、第二種衛生管理者