カトー折りの散歩道(第五十五歩)

■幸せの種

やっと酷暑を終えたようで秋を感じさせるこの静かな朝に、そうだ、コラムを書いておこうと思った。

静かな朝とは、私の心の中の情景なのだろうか、実際も静かなムードを書いているから、心身ともに穏やかな状態なのだろう。朝ドラの「あんぱん」は最終週を迎えて、あの、そうだ、生きる喜びという歌詞のとおり、私は舌癌を乗り越えて、生きる喜びを感じているから、静かな朝という表現になったのかもしれない。

この癌を境に生活環境も夫婦関係も一変したといってもいいだろう。いや、一見したら、何も変わっていないのだが、私の心境はそういうふうに感じるのである。また、そういう心境はすぐに現実として現れるのだから、本当に、はたからみて、変わったというイメージがあるんじゃないかと思う節がある。妻が私の呼び方が変わった。前はフランケンと呼ばれ、それは手術の跡があるからだが、今は、ミャクマミャクと呼ばれている。えっと、それは元気いっぱいという意味だろう。まぁなんだっていいさ

さて、そう、これは幸せの種といってもいいかもしれない。実は他にもそいう種がある。実はカトー折りなんだ。三日前に大阪の主婦から私宛にメールが届いた。
それは娘のまなみちゃん、中学二年生、彼女は防災士、そして避難生活に役立つカトー折りという本を宝物ように持ち歩き、新聞紙から身近な紙から食器を作っていた。それでまなみちゃんの防災教室を来年1月に開催するらしく、そのチラシにこの食器はカトー折りで作りましたという文章を掲載したいが、ということで、お母さまがメールで私に許可を申し出てきたのです。私はもちろん、OKと、返事しました。そのお母さんの返信には11月には防災士として、自衛隊の方とトークショーを大型ショッピングモールで開催されるとか、、、ほんとうにびっくりですよね。少しずつですが、着実にカトー折りはそういう形で世間に広がりつつあるんだと実感しました。

それは私に幸せの種として、これからどう花開くのかとても楽しみなことです。静かな朝にはそういう背景があったんじゃないかと、いま、そう思っているのです。

(カトー折り/防災士 加藤 祐一)

【執筆者プロフィール】
加藤祐一(かとう ゆういち)
カトー折り研究所(主宰) / NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネット(理事)
カトー折りで、eco japan cup2009 「広げるエコ賞」。2011年には「エコチャレンジ賞」。それがきっかけでカトー折り研究所を主宰。エコや防災、暮らしに役立つペーパークラフトを考案するなど幅広く活動中。
ブログ:https://blog.goo.ne.jp/kato911
資格など:防災士、防災トイレアドバイザー

 

■今月のカトー折り
~エコバッグ~
エコバッグを新聞紙で作ってみようというものです。
道具を使わずに手だけで作れるか、みなさんが作れるか、まったく挑戦的な策略だったと思います。
簡単に言えば、実験です。バッグとして使えるか、また作れるか、この紙一枚で伝わるかというさまざまな思いが詰まっています。