特別寄稿 YKKAP 分譲マンションの窓・玄関ドア改修工事と補助事業
■分譲マンションの窓・玄関ドア改修工事と補助事業 2025年版その1
2024年の6月~8月の3ヶ月間にわたり、分譲マンションの窓と玄関ドアのお話をさせていただきました。おかげさまでたくさんのお問い合わせをいただきました。ありがとうございます。少し時間が経過しましたので、その他の状況をお伝えさせていただきます。
過去3回の内容につきましては、2024年6月~8月のメールマガジンをご覧ください。
私は窓・玄関ドアメーカーのマンション改修工事専門チームの営業担当です。どうぞよろしくお願いします。
過去3回では下記のようなお話をさせていただきました。
その1:窓・玄関ドア改修工事の補助金について
https://www.mansion-consulting.com/special_mag39/
その2:工事契約前のスケジュールについて
https://www.mansion-consulting.com/special_mag40-1/
その3:工事契約後のスケジュールについて
https://www.mansion-consulting.com/special_mag41/
今回からはもう少し基本に立ち返り、「そもそも窓や玄関ドアの改修工事は必要なのか?」「改修工事の方法にはどのようなものがあるのか?」「それぞれの費用感はどのようなものなのか?」というようなところをお伝えできればと思います。

最初に「そもそも窓や玄関ドアの改修工事は必要なのか?」という点ですが、築30年以上が経過した分譲マンションでは改修工事の検討をお願いしたいです。戸建て住宅と異なり、分譲マンションでは「窓」も「玄関ドア」も共用部分となります。(※1)個人の裁量で改修工事ができる訳ではないと思われますので、管理組合全体での改修工事になるケースが多いです。そうなると色々な意見を整理・集約することが必要ですので時間がかかります。改修工事の検討は早めの実施をお勧めします。
(※1:管理組合ごとの規約によって異なります。お住いのマンションの管理規約をご確認ください。)
改修工事の検討にあたっては、業者への直接相談でも結構ですし、マンション管理会社・マンション管理士・コンサルタントの方への相談でもよろしいかと思います。YKK APではホームページ上で「お客様相談室」という窓口を設置しております。ぜひご活用いただければと思います。
(YKK APお客様相談室:お問い合せ[一般のお客様用] -YKK AP株式会社)
ご相談をいただくことで、「共用部分」の改修工事の実施についての様々なアドバイスをさせていただきます。

改修工事が必要な理由について、我々は「壊れたから直す」という意識は一切ありません。その部分がお住いのみなさまに伝わっていないことだと思います。窓やドアは人・光・風の出入り口として住宅(建築物)には欠かせないものですが、一方で入れたくないもの(暑さ・寒さ・雨・ホコリ・騒音・泥棒等)も出入りする可能性がある部分です。
壁面・床面・屋上からの出入りが難しいですから、ある意味「一番の弱点」にもなり得ます。この「一番の弱点」の部分が30年以上繰り返し開閉され、休みなく雨風に晒されている訳ですから流石に劣化します。そうなるとこの「一番の弱点」部分に対策を講じることが必要です。窓やドアの劣化が分かりにくいのは「劣化は徐々にしていること」と「比較対象が無い」ことが理由だと思います。特に2つ目の「比較対象が無い」ことが重要で、これについては自宅の窓やドアは「こんなもんだ」で済まされている方が多いですが、お知り合いの方で新しい住宅に住まわれている方がいらっしゃったら、
ぜひ訪問して体感させてもらってください。ご自身の身体についても「衰え」は以前の数値や結果と比較することで実感される方がほとんどだと思います。
YKK APでは窓の「劣化」を体感いただける常設展示場もご用意があります。お問い合わせをいただければと思います。
次に窓の改修工事の方法についても解説させていただきます。窓の改修工事の方法としては4つに大別されると考えております。
1. 既存窓の部品交換
2. 既存窓のガラス交換
3. 既存窓の内側に内窓を設置
4. 既存窓全体を交換
近年検討されている管理組合が増えていると感じるのが「1.既存窓の部品交換」です。これは現在お使いの窓の戸車やクレセント(カギ)や気密ゴム等を交換するという工事内容です。最大の魅力は負担費用が少ないことで、検討されている管理組合が増えている理由です。部品交換を生業とされている業者もいらっしゃいますので全面否定をするつもりはありませんが、窓のメーカーとしては対応していない改修工事の方法です。窓のメーカーとして品質担保ができないのが対応していない理由ですが、既存窓を製造した会社が存続していない。既存窓の部品が供給されていない。という供給側も対応できないケースがあります。仮に戸車を新品に交換したとしても、自動車で言えばタイヤ交換をしただけで、10年経過した自動車が新車になった訳ではありません。仮にすべての部品を新車時点のものに交換したとしてもそれは10年前の新車です。10年後の現在では時代に合っていない自動車です。(※嗜好性の部分はこの限りではありません)
窓も30年前の窓はガラスが単板ガラスで、断熱性能などが不足している窓です。現在は温暖化の影響もあり、30年前とは夏の暑さが変わってきているのはみなさまも実感されていると思います。時代が求める性能が変わってきているのです。部品を交換して30年前の窓に戻したとしても、現在の環境には合っていない窓にしかなりません。
一方で部品交換工事にも費用は発生します。この費用について後々議論になるケースもありました。「1住戸あたり○○円」という費用をかけて「1.既存窓の部品交換」を実施したが、結局5年後に「4.既存窓全体を交換」の検討を実施されている築後40年を迎える管理組合がいらっしゃいました。既存窓全体を改修した場合は5年前に交換した部品は廃棄することになります。この部分で色々な意見が出て議論になっているケースでした。
「1.既存窓の部品交換」はメンテナンスとして実施される話であり。築後20年ぐらいで実施されるのは良いと思いますが、築後40年が経過した物件では実施効果(すきま風対策、断熱対策)が少ないと思われます。短期的・限定的な効果ではなく、今後も住まい続ける住居に対して長期的、総合的に効果が発揮できる改修工事を実施すべきと思います。
次回はその他の改修工事方法2・3・4についての解説ができたらと考えております。
最後までお読みいただきありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。
(YKK AP株式会社 首都圏改装支社 長田 克也)
