アメリカ便り(第六十歩)
■愛する芸術家たち
中東情勢は大変なことになってますね。イランへの爆撃で子供達が犠牲になったという悲痛の情報が聞こえてくる一方で、イラン国内ではハメネイ独裁政権が終わり国民が歓喜している動画もネットでは出ているようです。ダラスのダウンタウンでも大勢の人が昔のイランの国旗を掲げていました。何故か?イランの歴史とその背景への理解がないと本当のところはわからないかも知れません。いやそれどころか、これはエプスタイン関連の情報のやり取りによるものだという説もあるようです。つまりこれはディープステート(DS)とホワイトハットの戦いだという説。色々とありますね。いずれにせよ、DSのプロパガンダに誘導されないようにフェイクニュースの見分け方を身につけておく必要もあるでしょう。
さて、フェイクニュースと言えば、最近AIによる動画や写真があまりにも本物すぎて驚いてしまいます。勤務先の工場でも、使われている製品試験用のプログラムをA Iで作られるようになったり、プレゼン資料はもちろん、書物から芸術の分野、果ては既に意思を持ち始めているとまで言われてるようです。
そんな中、先日、ダラスのアートギャラリー・タリー・ダン・ギャラリーの経営者とお話する機会を得ました。テキサス州は西海岸と東海岸の中間点として、両岸からの影響がありながらも南部独自のテイストがブレンドされて世界中のアートコレクターたちからも注目されている場所です。ダラスでは、美術館やギャラリー、他のアート関連スペースが95箇所と豊富にある中で、トップクラスレベルを維持しているこのタリー・ダン・ギャラリーは、同市のほぼ中心地に展示スペースを持っています。値段が数億円するようないわゆるブルーチップクラスの作品も含めて様々な国からのアーティストの作品を扱っています。
彼らによると昨年はアメリカの芸術作品の売り上げはあまり芳しくなかったのだそうです。AIの進出による影響はあるのか聞いてみたところ、それはないでしょうとのことでした。逆に、人々はAIによる人工的な創造物に既に飽き飽きして、よりハンドメイドな本物を求めるようになってきているそうです。ちなみに右上の作品は、同ギャラリーに所属のKANA HARADAさんの作品。日本の古い屏風にアクリル絵の具で描かれた抽象画「Welcome to my forest」です。ヒューストンの美術館とダラスの美術館で展示されたそうです。彼女はダラスに拠点を置いてヒューストンその他の美術館で個展を行ったりとアーティスト活動を続けている方です。ABC局からのインタビュー動画。 東京出身の彼女は、デッサンや日本画を御茶の水美術学院で学び、後にアメリカに移住してアート活動を続けているとのこと。日本画の美とアメリカの自由らしさが作品に表現されているように見えます。
今回、折角の良い機会でしたので、アメリカと日本の芸術家の違いについて少し伺ってみました。
「アメリカと日本の芸術家は、どちらも独自の深い歴史と文化を背景に持っていますが、その価値観、教育、キャリアの築き方には興味深い違いがあるかもしれません。一言で言えば、アメリカは、個人の独創性とステートメント(主張)を重視し、日本は伝統の継承と技術の洗練を重んじる傾向があるように感じます。アメリカでは、今までに誰もやらなかったことが評価されることがあります。技術的な面よりも、作品の背後にある哲学的なコンセプト(どうしてそれを作ったのか、どんな意味が込められているのかなど)が重要視される傾向にあります。一方、日本では、職人気質が美徳とされる面もあり、素材の扱い方や仕上げの美しさなど技術的な完成度が非常に重視されるようです。また、伝統的な技法をいかに現代につなげるかという「継承」のプロセスにも価値が置かれているようです。
表現の対象についても、アメリカでは政治、人種、ジェンダー、アイデンティティなどといった社会的な問題をテーマにすることが多くあり、芸術は時として社会を変えるための道具としての側面を持つこともあります。一方、日本は自然や季節のうつろい、静寂、侘び寂び、あるいはアニメや漫画といったサブカルチャーの再解釈など、より内向きあるいは装飾的なテーマが目立つように思います。
アートはビジネスという意識、自らを個人事業主として捉えています。助成金、寄付、投資としての作品売買が活発で、アーティストが自分のブランドをどう構築するかが成功の鍵となります。日本では、芸術が生き方・道として理解されているように感じます。茶道や華道のように精神修行にも通じる面を持つので、商業的な成功を追求することに抵抗感を持つこともあるのかも知れません。 最も村上隆氏のように、日本の職人的技術をアメリカのビジネスモデルを融合させて成功した例もありますし、先の述べた違いは曖昧なのは明らかです。」
なるほど、大変興味深いお話を伺うことができてとても勉強になりました。
最後ですが、偉大な画家でいらっしゃる尊敬する日本の画家の島田勇氏がご逝去されたと伺いました。この二つ目の画像は彼の作品 油絵抽象画による「思考絵画」題。時熟~大聖堂F15号がアマゾンに掲載されていましたので紹介させていただきました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
(米テキサス 谷 景太)
【執筆者プロフィール】
谷 景太(たに けいた)
外資系半導体チップメーカーのエンジニアとして40年勤務。テキサス州ダラス市在住30年。日米交流の助けになるべく、オフタイムには日本からの訪問者を案内している。セキュリティ業界や美術業界における販売促進に実績を持つ。また、五井平和財団の活動に賛同し、ユース作文プロジェクトでのボランティアを10年以上務める。オーストラリアのボンド大学MBAを中退し、最近は世の中の真実を追及すべく長年のエンジニアとしての経験・視点から意欲的に研究活動中。本連載では、アメリカに住む日本人から見えるアメリカや日本の動向・様子を観察しながら気づいたことなどを近未来への警鐘をならしながらも楽しく紹介している。
(米テキサス 谷 景太)
