アメリカ便り(第五十五歩)
■海外交流
中学時代に野球部に所属していましたが、当時一学年上で主将を務めていた先輩と先日久しぶりに会うことができました。彼は、JICA職員として南米の国々に十数年も働いていた経験があり、もちろんスペイン語もペラペラです。先輩は南米の数か国に数年ずつ駐在員として、そして後には所長として滞在していました。
ある時、彼はパラグアイの少年たちに野球を教えていたことがありました。パラグアイの少年たちは皆陽気で野球を楽しみながら先輩から教えてもらってどんどん上手になっていったそうですが、そのときの様子を笑いながらいろいろなエピソードを語ってくれました。面白かったのは、キャッチボールでボールを取れなかったときに「目の中に太陽の光が入って眩しかったから」と言いながらも当日は雲り空だったとか、練習に遅れてくる子がいたのでなんで遅れたのか尋ねると、「大雨が降ってたから」と言いながらも当日は雲一つない天気だったとか、先輩いわく「あいつらはまったくテキトーなんだから。。。」とのことでした。と言いつつも先輩はそのお教えていたチームをパラグアイ代表として世界大会出場のために日本に凱旋したこともありました。
昔話に花が咲きましたが、アフリカとの交流推進に関して炎上している件にも話が及びました。対象の4つの国がいずれも危険だから訪問を避けるべきとされている国で、その国々から沢山の人たちが日本に移民として入ってくるような交流は好ましくないと思うが、社員としてはどうか?と尋ねると、「全くその通り。ホームページからどんどん苦情のメッセージや電話をどんどんして欲しい」とのことでした。幸い、YAHOOニュースによると理事長の方からこの事業は撤回との内容の記者会見をしたそうですが、「今後もっく際交流を促進する取り組みを支援していく」とのことで目は離せないなと思います。
海外交流に関連してもうひとつ注目しているYahoo ニュースがあります。
「9月20日、登録者数135万人の人気旅系YouTuber・Bappa Shotaが自身のYouTubeチャンネルを更新。2カ月の沈黙を破り、現在の状況を報告した。 2カ月前、『中国ウイグル自治区と強制収容所の実態がとんでもなかった』という動画を最後に、しばらく沈黙。SNSもストップし、音信不通となっていました。 最後の動画内容が強烈だっただけに、心配の声が集まっていたのですが、先日、新しく動画をアップし、『みなさん本当にご心配おかけして申し訳ないです。現在は日本に帰国しておりまして、無事に旅を続けております』と近況を明かしました」(芸能記者)」 という記事です。140万人のフォロワーを誇るこの人気ユーチューバーの若者は、Bappa Shotaチャンネルを通して、世界各地を単身で訪れてその地域にかかわる社会的な問題や文化の紹介をしています。沢山ある動画の一つ一つが充実してよくできていまして、興味深くとても勉強になるので以前からよく拝見していました。
最新の動画によると今後は少し活動を休止するという意向で、インスタグラムでもアップデートがあったようですが、目の下にあざが見られることや表情の硬さなどから、専門家の意見によれば、Yahooニュースは地上メディア同様にかなり嗜好性の強い発信源ですので、なんらかの圧力による記事と見た方が無難で、彼はまだ中国で軟禁されている可能性が高く、彼が現地で採用した通訳やウイグルで案内してくれたウイグル人などは皆、監視の役目だったのではないかとのことです。私もこの見方に同意です。彼の動画の内容はいつもなるべく中立の立場で現地の様子を報告しているのですが、いつも少し危険度の高い地域に足を踏み入れる強硬スタイルが、中国・中共には通じなかったようです。この専門家の人たちがなんとか助けられないか試みているそうですが、どうか無事であることを祈るばかりです。
是非見守ってあげてください。ではまた!
(米テキサス 谷 景太)
【執筆者プロフィール】
谷 景太(たに けいた)
外資系半導体チップメーカーのエンジニアとして40年勤務。テキサス州ダラス市在住30年。日米交流の助けになるべく、オフタイムには日本からの訪問者を案内している。セキュリティ業界や美術業界における販売促進に実績を持つ。また、五井平和財団の活動に賛同し、ユース作文プロジェクトでのボランティアを10年以上務める。オーストラリアのボンド大学MBAを中退し、最近は世の中の真実を追及すべく長年のエンジニアとしての経験・視点から意欲的に研究活動中。本連載では、アメリカに住む日本人から見えるアメリカや日本の動向・様子を観察しながら気づいたことなどを近未来への警鐘をならしながらも楽しく紹介している。