アメリカ便り(第五十六歩)
■トランプ関税の影響
アメリカではスリフトストアというリサイクルショップが人気です。どこの街にもあって、地域特有の歴史的な掘り出し物も発掘することができます。埃だらけの汚れたグラスでも洗えばすぐにきれいになって使うことができます。ものによっては、素材やデザインなどなかなか素晴らしいものがあったりしますので、そういったレアなものに出会うとものすごく豊かな気分にもなります。このリサイクル系のファッション版のお店がダラスにも沢山あります。
こうしたお店で扱っているような中古のハンドバッグの中には高級ブランドものもあって、かなりの値段で展示されていますが、そこに特化している日本人のバイヤーの方がいます。ここ数年お手伝いをさせていただいてますが、毎年一度はダラスを訪れていて先月お会いすることができました。彼女は、中古のハンドバッグを日本で買い集めてアメリカやアジア諸国に卸すという商売を10年以上も前に始め、今では少数精鋭の中小企業ですが、年商が7億円を超えたとのこと。そのうちの半分の売り上げがアメリカだそうです。
以前に紹介した日本での死亡者数がコロナワクチンが始まって以来、急激に増加していることを表している「おかしくないですか」で有名な藤江成光さんのグラフを見るとコロナワクチンが始まった2021年から明らかに異常な増加を見せています。当然ながらこれに伴ってお葬式の需要が増え、不要になった家の亡くなった人たちの家や遺品の処分も増えます。
昭和の日本人は物持ちが良く、古くても手入れされていて保存状態が良く、今となってはレアなものが沢山オークションに出てくるそうで、日本からの中古ハンドバッグは世界中で注目されているそうです。新品購入する経済力がない若者たちの間で中古のブランド品が人気で、その勢いはまだまだ今後も続くと見込まれているとのこと。実際のところ、全米の中古ハンドバッグ市場の売り上げトレンドは好調な成長を続けており、日本人の死亡者数増加が幸か不幸か彼女のビジネスの成長への追い風になっているようです。
さて、そんな中、自らを関税男と称しているトランプ大統領ですが、彼女曰く、この関税が困ったものでトランプどうにかならないかしらとの事。もともと来年から始まると言われていたこの関税が一年前倒しになって今年導入されたおかげで、売り上げが伸び悩んでいるそうです。中古ハンドバッグの値段はもともとあってないようなものなので、関税に対する体力は多少なりともあるものの、
全商品が関税対象になり、梱包全て開封検査されるため手続きに時間が大幅にかかるようになり、15-20%の税金が上乗せされるようになっては、注文数も下がってしまうのは仕方のないところです。
彼女のぐちを聞きながら、ダラスにあるセカンドストリートというお店に立ち寄りました。このお店は品揃えも値段も、破格なものからプレミアムなものまで充実していて、いつも店内は混みあっていますが、「実はこのお店は日本の会社なのよ」と聞いてびっくり。 店員さんはみな地元の人たちで日本人の店員さんは誰もいません。
このお店を運営しているのはゲオホールディング社。同社の業績はかなり好調なようです。2024年3月期決算によると、ゲオホールディングス全体の売上高は前期比15%増の4,338億円で、過去最高を更新。この大幅増収には、リユース市場拡大を背景としたセカンドストリートの好調な国内および海外での売上と、新品商材(リユースラグジュアリー、ゲームなど)の売上が貢献しているとのこと。特に海外、特にアメリカでの売上は著しく伸びており、2025年3月期には海外売上高が200億円に達すると見込まれているそうです。ちなみにこのお店、買取もしてくれるので、あまり着古していないワイシャツなどを持ち込みましたところ、20着程度で日本円にして約2万円ほどになりました。結構良い金額になって大満足。日本の企業と聞いてますます応援したくなりました。是非見守ってあげてください。ではまた!
(米テキサス 谷 景太)
【執筆者プロフィール】
谷 景太(たに けいた)
外資系半導体チップメーカーのエンジニアとして40年勤務。テキサス州ダラス市在住30年。日米交流の助けになるべく、オフタイムには日本からの訪問者を案内している。セキュリティ業界や美術業界における販売促進に実績を持つ。また、五井平和財団の活動に賛同し、ユース作文プロジェクトでのボランティアを10年以上務める。オーストラリアのボンド大学MBAを中退し、最近は世の中の真実を追及すべく長年のエンジニアとしての経験・視点から意欲的に研究活動中。本連載では、アメリカに住む日本人から見えるアメリカや日本の動向・様子を観察しながら気づいたことなどを近未来への警鐘をならしながらも楽しく紹介している。
