マンションと法(第五十四歩)
■標準管理規約の見直しに関する検討会について(2)
令和7年8月8日に開催された「令和7年マンション関係法改正等に伴うマンション標準管理規約の見直しに関する検討会(第2回)」についての情報提供となります。
第2回検討会では、次の①~⑥の各項目についての検討がなされましたので、その概要をまとめました。なお、①~②は令和7年区分所有法の改正を、③~⑥は社会情勢等を、それぞれ踏まえた見直しとなっています。
国土交通省のWEBサイトに掲載されている資料には具体的な見直し案が記載されていますので、
ぜひご参照ください。
また、見直しが予定されているコメントには具体例が豊富に記載されており、今後のマンション管理における指針として参照されることが多くなるのではないかと考えています。
【参考】
国交省:令和7年マンション関係法改正等に伴うマンション標準管理規約の見直しに関する検討会
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/r7kiyakukentou.html
① 修繕積立金の使途
新たなマンション再生手法(更新・除却等)の調査・設計段階の支出について、修繕積立金を充当できる旨の規定を整備するとともに、修繕積立金の管理・運用に関する費用に修繕積立金を充当できる旨を明確化する見直しとなります。
② 共用部分等に係る損害賠償請求権の代理行使
損害賠償金等の使途を制限する規定、区分所有権を譲渡した際に、区分所有法26条2項の別段の意思表示を行わないこととする規定、理事長が、区分所有者及び区分所有者であった者の損害賠償請求権の代理行使をできる旨を明示する規定を、それぞれ創設する見直しとなります。なお、この他に区分所有者が損害賠償請求権の個別行使をしない旨の規定を設けることが検討されています。
③ 管理組合役員に就任可能な者の範囲の見直し
まず、管理組合の役員の担い手不足が指摘される中、実務上、区分所有者の家族・親族が役員に選任される事例も一定割合存在することを踏まえて、家族、親族が役員に就任する場合の留意事項をコメントに追加する見直しとなります。
次に、会社法、一般社団法人法等の規定(会社法、一般社団法人法等の団体の構成員の判断により役員等を選任するという性質を有する法人については、精神の機能の障害等を理由とする欠格条項は設けられていない)に合わせた欠格条項の再検討を行う見直しとなります。
④ 管理組合役員等の本人確認
管理組合財産を狙った、区分所有者ではない者による管理組合役員・専門委員へのなりすまし事案が発生したことから、管理組合役員、専門委員就任時の本人確認についてコメントを追加する見直しとなります。
⑤ 管理組合が取り組むべき防災関係業務
マンションにおける防災対策の重要性が指摘されていることに鑑みて、管理組合において取り組むべき防災関係業務の内容をコメントに追加するとともに、消防法上設置が求められている防火管理者に関する規定の追加を検討する見直しとなります。
⑥ マンション内での喫煙に関するルールの整備
改正健康増進法に基づく基本方針において、令和14年度までに「望まない受動喫煙」をなくすことを目指すこととしていることに鑑みて、管理組合において、喫煙に関するルールを定める際の留意事項をコメントに追加する見直しとなります。
(弁護士 豊田秀一)