マンションと法(第五十五歩)
■標準管理規約の見直しに関する検討会について(3)
令和7年9月2日に開催された「令和7年マンション関係法改正等に伴うマンション標準管理規約
の見直しに関する検討会(第3回)」についての情報提供となります。
第3回検討会では、これまでの検討結果を踏まえて、令和7年標準管理規約の改正案がとりまとめられました
(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/r7kiyakukentou.html)。
その後、9月10日、同日から25日までを意見募集期間として、上記改正案についてのパブリックコメント(意見公募)が実施されましたので、近日中には改正後の標準管理規約が公表されることになろうかと考えています。
また、上記パブリックコメント実施に当たっての報道発表資料によると、マンション標準管理規約(単棟型)の改正案の概要について、次の記載があります。今回の令和7年改正案は、令和7年5月30日に公布された区分所有法等の改正等の内容を踏まえたものであることから、その改正箇所は多岐に及びます。また、その改正内容は、改正区分所有法施行後の総会決議の内容にも影響を与えるものも含まれるため、公表後には早期にその内容を把握した上で、居住マンションの管理規約の改正等を検討する必要が出てくると考えています。その際は、報道発表資料に記載された主な改正点の箇所から内容をキャッチアップしていくことをお勧めします。
【報道発表資料の記載】
1 改正法を踏まえた見直し
① 総会決議における多数決要件の見直し(第47条及び同条関係コメント)
② 総会招集時の通知事項等の見直し(第43条)
③ 国内管理人制度の活用に係る手続き規定の創設(第31条の3及び同条関係コメント)
④ 所在等不明区分所有者の総会決議等からの除外に係る手続き規定の創設(第67条の3及び同条関係コメント)
⑤「所有者不明専有部分管理制度」等のマンションに特化した財産管理制度の活用に係る手続き規定の創設(第67条の4、第67条の5及び同条関係コメント)
⑥ 修繕積立金の使途に係る規定の整備(第28条及び同条関係コメント)
⑦ 共用部分等に係る損害賠償請求権の代理行使に関する規定の創設(第24条の2及び同条関係コメント)
2 社会情勢等を踏まえた見直し
① 管理組合役員に就任可能な者の範囲に関する留意事項(第35条関係コメント)
② 管理組合役員等の本人確認に関する留意事項(第35条関係コメント及び第55条関係コメント)
(弁護士 豊田秀一)
【執筆者プロフィール】
豊田 秀一(とよだ しゅういち)
弁護士 マンション管理士 中小企業診断士
武蔵小杉あおば法律事務所(神奈川県弁護士会)所属
https://msk-aobalaw.com/
依頼者に「あんしん」をお届けすることをモットーに、一般民事、中小企業法務にかかわる案件を幅広く扱う。マンション管理士の資格取得後は管理組合の顧問業務にとどまらず、役員として管理組合業務に携わるなど、マンション管理に関する業務にも積極的に取り組んでいる。