管理組合の考察(第五十五歩)
■マンション標準管理規約の改定
前回の記事で「マンション標準管理規約」の改定が9月中に行われるだろうと書いた。
しかしながら、執筆時時点で改定の正式発表がない。
今月の記事ではこの改定について、概要と私の所感を書くつもりであったが、正式な発表がない以上書くことはできなくなった。申し訳ない。
現状は、予定されている改定の概要が発表され、パブリックコメントの募集が行われ、募集期間が終了しただけである。通常ならば、この後、有識者による検討会の承認を得て改定案が正式発表されるはずだ。
発表された改定原案は国交省のホームページで確認してほしい。
001909503.pdf
他方、「マンション標準管理委託契約書」については、スケジュール通り進んでいるようだ。
こちらについても、有識者による検討会がおこなわれており、今後のスケジュールもこの検討会で発表されている。
それによる9月後半にパブリックコメントの募集が行われ、その後の検討会で正式な改定案が提
示され、11月初めに正式な改定案が公開されることになっている。現在はこのスケジュール通りパブリックコメントの募集が行われている。
改訂の主な目的は管理会社による第三者管理が認められたことに関し,管理会社に対して外部管理者業務についても管理業務委託契約書を作成義務づけ、国家資格取得者である管理業務主任者による重要事項説明を義務付けたものである。
興味のある方はパブリックコメントに応募したらいかがであろうか。
本稿執筆中に、大方の予想に反し、自民党の総裁に高市早苗氏が選出されたとのニュースが飛びこんできた。これにより自公連立政権の継続が危機に瀕しているとのことだ。
このことはマンション行政に多大の影響を及ぼす可能性がある。ここ数代の国土交通大臣は公明党出身者に限られてきた。いわば自公連立政権の目玉人事であった。
一般にはあまり知られてはいないが、マンション行政の主管大臣は国土交通大臣である。
これまでの高市氏の主張は、岩盤保守層の主張に基づいておりも平和の党を看板にする公明党とは相いれない。公明党も総裁選時から高市氏の総裁選出に反対する意見を述べていた。また、総裁選出後の高市氏本人との面談でも指摘したとも報じられている。
公明党の連立離脱まではないとしても、参院選や今回の総裁選でも論じられた外国人の不動産取得問題や入管規制問題をも管轄する国土交通大臣の交替は充分考えられる。その影響でマンション行政の変更の可能性も高い。注視していきたい。
来月は、「標準管理規約」「標準管業務委託契約」の動向について述べたい。またこの政権交代のマンション行政への影響についても述べたいと思う。
(マンション管理士 渡邉元)
【執筆者プロフィール】
渡邊元(わたなべ はじめ)
MSAマンション管理士事務所 代表(メールアドレス:msahajime@gmail.com)
明治大学法学部卒業後、米国法人総合金融会社・航空会社勤務をする。退職後、大手マンション管理会社に再就職し、マンション管理士等関連資格を取得し、独立開業する。
現在、「管理組合を共同運営する会」の事務局長として活躍中。
管理組合を共同運営する会ウェブサイト:https://kyoudou-unei.com/