マンション関係裁判例集(第五十一歩)

■管理費滞納問題
5.■管理費未払いで水道使用停止は不法行為 平9年5月7日 福岡地裁小倉支判
概要
①理事長らが管理費の支払いを求めて、滞納者の水道元栓を3回にわたって閉栓(給水を止める措置等の嫌がらせ)等した行為
②不法行為責任を構成し、損害賠償責任を認めた

4.■管理費滞納者に対する専有部分の使用禁止請求を却下 平14年5月16日 大阪高判
概要
①管理費等の滞納(約1190万円)者に対する専有部分の使用禁止請求(58条1項)
②滞納は共同の利益に反する行為に該当するが、使用禁止認められない
(競売も考えられ、使用禁止請求は滞納解消とは関連性がない)

3.■管理費請求権の消滅時効期間 平16年4月23日  最二小判
概要
①滞納管理費等(特別修繕費を含む)の5年を経過した部分
②民法169条の定期給付債権として、5年は時効で消滅しているとの区分所有者の主張を認容した

2.■59条競売での剰余主義不適用 平16年5月20日  東京高決
概要
①法59条競売では、区分所有権の剥奪を目的とする(配当は予定せず)ものであるから、剰余主義の規定(民事執行法63条)は適用されないとした
(違反者に対する最終手段)

1.■管理費の遅延損害金を年30%は違法でない 平20年1月18日 東京地判
概要
①管理費の遅延損害金を年30%は違法として訴訟
②管理規約は、非対等な契約当事者間の消費者契約とは異なり、管理費の遅延損害金を年30%としても消費者契約法の適用対象とならず、公序良俗に反するとも認められない

■滞納管理費等承継者問題-
3.■滞納光熱水費の特定承継人への請求訴訟 平20年4月16日  大阪高判
概要
①専有部分に関する事項(水道光熱費の一括管理徴収)は、原則規約で定めうる事項ではないが、特段の事情(ライフラインの確保)を認め規約事項とすることを認容した
②滞納された光熱水費も特定承継人に請求できるとした
(H25.2.22名古屋高判は特段の事情なしと判断して、請求を否定した)

2.■特定承継人への滞納水道料金等の請求 平25年2月22日  名古屋高判
概要
①専有部分の各戸の水道料金の支払額、支払方法、特定承継人への支払い義務の承継を規約で定めた効力
②特段の事情のない限り、(管理目的ではないことから)効力を有しないと判断
(※№42のH20.4.16大阪高判は特段の事情ありと判断)

1.■滞納管理費は中間取得者も支払い義務を負う 平20年11月27日  東京地判
概要
①区分所有権がA→B→Cと移転した場合、中間取得者Bは、元の区分所有者Aが滞納していた管理費等に加え、滞納賃料(駐車場賃料等)の支払い義務に関する訴訟
②法8条の「債権」として支払義務を負う

以上