マンション関係裁判例集(第五十二歩)
■ベランダ問題
4.■バルコニー(ベランダ)は共有部分に該当、工事部分撤去認める 昭50.4.10 最一小判
概要
①バルコニーは1棟の建物の躯体の張出し部分で、建物の躯体である外壁の一部をなす部分であり、共用部分に該当する
②加えた工事部分の原状回復請求を認容した
3.バルコニー側外壁に無断で穴開けは共同利益違反 平3年3月8日 東京地判
概要
①区分所有者がバランス釜を設置するためにバルコニー側外壁に穴(スリーブ)を管理組合に無断で開ける行為の撤去訴訟
②共用部分の変更にあたり管理組合に無断で行ったことは共同利益に反する行為として、撤去及び原状回復請求等を命じた
2.バルコニ-手すり壁汚れ管理組合の修補責任なし 平27年7月17日 東京地判
概要
①バルコニーに設置された手すり壁のガラスに汚れがある場合、管理組合の修補拒否等に係る不法行為責任を否定した
②管理組合が、共用部分に存在する不具合の全てにつき、程度等にかかわらず修補をする義務があるとはいえない
1.共同アンテナ設置後のバルコニーへアンテナ設置 問題平3年12月26日 東京地判
概要
①総会で決議された共同アンテナの設置以降にバルコニ-に個別パラボラアンテナを設置したことに対する撤去訴訟
②管理規約で定めるバルコニ-(共用部分)としての通常の使用方法とはいえなくなったとして、撤去請求が認められた
■騒音問題
6.フローリング改築による騒音訴訟 平3年11月12日東京地判
概要
①床をフローリングにしたために生じた階上からの騒音(子供の飛び跳ね等)訴訟
②受忍限度内であり、床を畳敷・絨毯に変更することを求めることはできない
5.フローリング工事で騒音被害が4倍は不法行為 平8年7月30日 東京地裁八王子支判
概要
①フローリング床にしたため騒音被害が従前の4倍になったことは受忍限度を超え不法行為を構成するとして損害賠償責任を認めた
4.1階店舗のカラオケ深夜営業使用禁止訴訟 平4年1月30日 東京地決
概要
①1階店舗部分でのカラオケスタジオの深夜営業に対する使用禁止訴訟
②受忍限度を超えた共同利益背反行為であるとして、一定時間帯(0時~4時)の使用禁止(仮処分命令)を認容した
3.奇声、騒音占有者(区分所有者の長男)の行為で競売請求 平17年9月13日 東京地判
概要
①奇声、騒音等を行った占有者(区分所有者の長男)の行為が、共同の利益に反し他の方法では解決が困難である
②引渡請求(区分法60条)と同時に競売請求(同法59条)も認容した
2.階上子供跳んだりする騒音(騒音計で50~65dB程度 平19年10月3日 東京地判
概要
①階上の子供が廊下を跳んだり跳ねたりする騒音(騒音計で50~65dB程度の測定)
②受忍すべき限度を超えるとして損害賠償請求(慰謝料及び弁護士費用)を認容した
1.理事会決議による騒音発生リフォーム工事中止 平26年10月1日 東京高判
概要
①隣接する部屋のリフォーム工事の振動・騒音で妊婦に被害が生じる懸念があったことから、管理規約所定の理事会の招集手続を経ていない決議(工事中止を求める)を行った
②緊急性が高いことから相当性を有すると判断した
■ペット禁止問題
3.ペット飼育禁止条項設置規約改正訴訟 平6年8月4日 東京高判
概要
①被害の発生を問わず、動物の飼育禁止条項を設ける規約改正訴訟
②盲導犬のような特段の事情がある場合でない限り、特別の影響に該当しない
(H10.12.26最高判も支持)
2.ペット飼育一代限り決議後の犬飼育差し止め訴訟 平10年3月26日 最判
概要
①ペットの飼育を一代限り飼育を認める旨決議した後、ペットクラブ゛を設立し犬の飼育を開始した者に対し、飼育の差止請求
②共同の利益に反する行為として犬飼育の差止請求を認容した
1.ペット飼育可能と説明販売後の禁止規約決議で販売者責任平17年12月13日福岡高判
概要
①ペット飼育可能として説明販売後、組合総会で飼育禁止規約が決議された場合
②分譲業者に対し説明義務違反による慰謝料支払が命じられた
以上