マンション関係裁判例集(第五十四歩)
■漏水問題
4.管理会社はパッキン劣化による水漏れ事故責任訴訟 平5年1月28日 東京地判
概要
①管理会社は、適切に事務の管理を行っており、パッキンの劣化による水漏れ事故の賠償責任を負わない(共用部分でなく、管理業務の範囲外である)
3.排水管枝管は共用部分で階上者の漏水損害賠償責任否定 平12年3月21日最三小判
概要
①床下スラブと階下天井板との間の空間に設置された階上者専用の排水管の枝管漏水について、階上者の損害賠償訴訟
②「専有部分に属しない建物の附属物」で共用部分にあたり、同排水管からの漏水について、階上者の損害賠償責任を否定した(上告棄却)
2.床とスラブとの間の空間部分は専有部分 平12年12月27日 福岡高判
概要
①床とスラブとの間の空間部分は専有部分であり、床下配水管に基づく漏水は管理組合の責任ではない
②しかし、屋上排水ドレーンのごみ詰まりやクラックからの雨水侵入による漏水事故では、原審(H11.8.23福岡地判)を変更して管理組合の管理責任(工作物責任)を認めた
1.上階の水漏れと管理組合の責任 平27年3月17日 東京地判
概要
①902号室の水漏れは、実験の結果1002号室(上階)の浴室防水層の損傷に起因するものと認定し、同室所有者の工作物責任を認容したが管理組合の責任は否定した
■自治会 町内会問題
5.脱退申し入れ後の自治会費の支払い義務はない 平17.4.26 最三小判
概要
①県営住宅の入居者で組織される自治会は、強制加入団体でもなく、規約で会員の退会を制限する規定も設けていないことから、会員には一方的意思表示により脱退する自由がある
②脱退申し入れ後の自治会費の支払い義務はない
4.管理組合の町内会費相当額の徴収を規約で定めた拘束力 平19年8月7日 東京簡判
概要
①総会決議は共有財産の管理に関する事項について行われるべきであり、管理組合が(共有財産の管理に関する事項でない)町内会費相当額の徴収を規約で定めてもその拘束力はないとして、町内会費の返還を命じた
3.管理組合による自治会費徴収代行の脱退者が返還請求 平19年9月20日 東京高判
概要
①管理組合が自治会に対しコミュニティ形成業務の業務委託費用名目で200円/月/人を支払っていたが、自治会退会者が支払済み会費の返還請求
②実質的には自治会費の徴収代行であり、自治会を脱退した者との関係では自治会費相当分は管理組合の不当利得が成立するとした(自治会退会後の支払済み会費の返還を認容) 「※H24.5.24東京高判(№48)と判断が分かれている」
2.管理費からの自治会費の支出総会決議は有効 平24年5月24日 東京高判
概要
①管理組合が管理費から町内会費を支出する旨の定時総会決議無効訴訟
②管理規約に町内会への加入義務や町内会費負担義務が記載されており、管理組合の目的に町内会との良好な関係を築くこともその業務内容に含まれると決議を有効とした 「※H19.9.20東京高判と判断が分かれている」
1.自治会への加入強制は不平26年2月18日 福岡高判
概要
①団地の自治会長による、住民への自治会加入強制・支払請求が不法行為に該当
以上