マンション関係裁判例集(第五十五歩)
■売買契約関係
4.サッシの遮音性能不足で損害賠償訴訟 平3年12月26日 福岡地判
概要
①業者の説明と異なり、サッシの遮音性能は売主の保証した基準に達しておらず不十分なものだったとして、買主の損害賠償請求を一部認容した(欠陥マンション)
3.通気管施工不良による悪臭で賃貸困難瑕疵修補訴訟 平6年2月24日 東京高判
概要
①通気管の施工不良による悪臭で賃貸することが困難になったとして、売主に逸失賃料と修理費用の支払義務を認容した
②売主に特約による瑕疵修補義務を認めた
2.駐車上に関する分譲業者の説明義務違反 平9年4月23日 横浜地判
概要
①分譲業者が説明を的確にしなかったため、買主らの第三者との駐車場賃貸借契約の更新を断られた
②分譲業者に説明義務違反があったとして慰謝料の支払いを認容した
1.別府マンション事件 瑕疵ある建築物の賠償責任 平19年7月6日 最二小判
概要
①設計者等の注意義務違反により建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵があり、これで居住者等の生命、身体又は財産が侵害される場合は、不法行為による賠償責任を負う
■賃貸関係
1.家賃滞納者の承諾なき室内立ち入り特約は無効 平18年5月30日 東京地判
概要
①賃料滞納の場合は賃借人の承諾なしに室内に立ち入りでき止る旨の特約(自力救済条項)
②平穏に生活する権利を侵害する違法な行為であり、公序良俗に反し無効である
■その他
3.■専用使用部分(窓ガラス等)の工事費用負担 平21年12月24日 仙台高判
概要
①専用使用部分の窓ガラス、戸車等の経年劣化は専用使用者の通常使用に伴うものであり、特別な取扱いをする旨の総会決議がないことから、工事費用は個々の区分所有者が負担すべきである
2.共用部分携帯基地局賃貸収益への課税 平30年10月31日 東京高判
概要
①携帯基地局設置による賃料収入を収益事業だと認定し、管理組合に課税をした税務署の判断は誤りで、各区分所有者に課税すべきであるとして管理組合が提訴
②権利能力なき社団である管理組合を事業主体としたものであり、法人税法上の収益事業に該当し課税義務を負うと判断
1.高圧受電方式への変更の際の個別電力供給契約の解約 平31年3月5日 最三小判
概要
①団地建物所有者等に対してその専有部分の電力供給契約の解約申入れを義務付ける旨の集会決議がされた場合において、団地建物所有者が上記解約申入れをしないことが他の団地建物所有者に対する不法行為を構成しない
②(組合の決議や細則で現在の契約の解除を義務付けられない)と判断
以上